
HAKU 北村 コラム 77「家言葉の話」
普段は靴職人、北村です。
あのさー!
各家庭でだけ使われてる言葉ってあるよねえー!!
方言とかじゃなくてね、家族間で新しく作り出された独自の言葉!
便宜上「家言葉(うちことば)」って呼びます。
今回は我が家の家言葉について話しますぅ!!!
その1【朝パン】
意味:朝に食べるパンのこと。
「朝のパン」でも「朝食のパン」でもなく、朝パンと呼んでいます。
もともとは妻が使ってたんですけど、いつの間にか家言葉として定着してました。
「朝パン買おっ!」
とか
「朝パンある?」
などといった使われ方をします。
この言葉には不思議なところがあります。昨日は朝パンと呼んでいたのに、当日の朝になると普通に「パン」と呼ばれるのです。これは朝パンの「朝」の部分が「明日の朝」を示しているためだと思われます。
未来のパンにしか使わない、それが朝パンという言葉。
明日のお昼に食べるパンを「昼パン」とは言わない。それもまた不思議。
その2【みみくり】
意味:耳掃除のこと
我が家では家族全員、耳かきではなく綿棒で耳掃除をします。
綿棒を耳に入れ、やさしくクリクリと回転させる至福の時間。
……そうです、もうお分かりですね?
みみくり=「お耳くりくり」です。
これは僕と妻がラブラブしていた20代の頃に生み出されました。現在もたまに妻に耳掃除をしてもらうのですが、その見返りとして肩揉みを要求されます。なので耳掃除をお願いするときは、
「本日、みみくり肩揉み交換会、どうでしょう?」
と提案させていただいております。
娘(小4)は耳掃除してほしいときに
「みみくりしてー!」
と言ってきてかわいいのですが、
(もしや耳掃除という正式名称を知らない?!)
と心配になり、
「あのね、みみくりってのはウチで言ってるだけで、本当は “耳掃除” だからね? よそで言っても通じないからね?」
と注意をしました(わかってる!と言われました)。
あと全然関係無いんですけど「mimicry(ミミクリー)」という、似た発音の英単語があるんですよ。「ものまね」とか「擬態」って意味です。響きかわいすぎ。
その3【フィンフィン言う】
意味:ぐずる
ぐずってなんだかんだ言ってる人に対して、
「もう! フィンフィン言わないのっ!」
のように使います。
この言葉、僕が小さい頃に母が使ってたような気がしてまして、僕自身も面白がって使ってたんですよ。
ところが弟と話していたとき、
「 “フィンフィン言う” って実家で使ってたよね?」
「ん? 聞いたこと無いけど???」
「え? お母さんが使ってなかった?」
「いや、使ってないって」
「……」
「フィンフィンって……機械音やん、それ」
と、こんな感じで出どころ不明となりました。
妻もこの言葉を使うので「誰が言い出したか分かる?」と訊いたんですが、結果分からずじまい。
発祥の分からない言葉が存在し続ける……。
それも家言葉の不思議。
その4【髪ブンブン】
意味:髪をドライヤーで乾かす
娘が生まれてからできた言葉です。発祥は妻。
妻は言語感覚が多少特殊で、特に擬音語・擬態語の選択について「おや?」と思うことが少なくありません。
「ブンブン」はどう考えても何かを振り回している様子だと思うんです。
ついでに言うと、娘に鼻をかむことを指示するとき、妻は
「鼻ブーンして!」
と言います。なんか勢いがあり過ぎるぅ!「鼻ブーして」なら分かるんですけどね。「ブーン」だとコミカルさが追加される気がします。
なお、この2つの言葉、僕はどちらも使ってません。
でも髪ブンブンと鼻ブーンの語呂はめちゃくちゃ面白いので好きです。
その5【ただいマンモス/おかえリンモス】
意味:ただいま/おかえり
ある日、娘が学校から帰ってきたときに
「ただいマンモス!」
って言ってきたんですよ。
(た、ただいマンモスだと……ッ?!)
(父親としてセンスのある返しをしなくては……)
(おかえ……り、り、り?!)
(くっ……「り」で始まる言葉が思いつかない!)
(「おかえリンドバーグ」しか思いつかない!)
(令和の小学4年生に!)
(90年代『今すぐKiss Me』等の楽曲をヒットさせた!)
(渡瀬マキがVo.を務めるロックバンドのことが!)
(伝わるわけがない!) ※ここまで0.5秒
そして思考停止した僕は、そのまま
「おかえリンモス」
と発したのです。
そしてこのやりとりが定着しました。
娘は気に入っているようです。
以上、ひさしぶりにリンドバーグを聴いて、めちゃくちゃ良いなと思った北村がお送りしました。
LINDBERG「BELIEVE IN LOVE」
https://youtu.be/O4xmEG-Mi40?si=fJR8Ge9crfYv4pVi
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。