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HAKU 北村 コラム 45「夏休みの話」

普段は靴職人、北村です。

夏が終わろうとしている……

僕は季節の中で一番夏が好きなんです。
どれくらい好きかというと、夏至(今年は6月21日)を過ぎると、

「嗚呼、ピークは過ぎたんだな……」

と、夏前から夏の終わりを想像して嘆くくらい好きなんです。

ただでさえ好きな夏なのに、今年はもう1つ楽しみにしていることがありました。

それは……

_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> 僕の娘(小1)、初めての夏休み!!! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

ということです。

そもそも僕が夏好きなのは、夏の「雰囲気」が好きだからなんです。それはやはり小学校時代の夏休みがとても楽しかったからだと思うんです!

もう一度あの日々を味わいたい……しかし僕はもう大人(45歳)なので、それは無理だと分かっている……

じゃあ、小学生の娘と一緒に過ごすことで、夏休みを疑似体験できるのではないか!? そう考えたわけです!

そんなわけでね、今回はそんな夏休みの記録をお話していきたいと思いますよ。

【カブトムシ】

朝、妻が

「倉庫にカブトムシが入ってきとるでえ!!!」

と言うので娘と見に行くと、むちゃくちゃ立派なカブトムシ(オス)がいた。
じっとしたまま動かず、一向に飛び立つ様子がないので、しばらく観察をすることにした。

娘が、

「カブトムシにご飯あげたい!」

と言い出した。

すぐに100均に行き、昆虫ゼリーとそれを入れるえさ台を買う。

家に戻り、それをカブトムシの目の前に置いてみる……が、やはり全く動かない。

しかたなく手でつまみ上げ、えさ台に乗せた。

「おとうさん、カブトムシ触れるの!?」

娘が僕を尊敬の眼差しで見つめていた。

「触れるよ」

「じゃあ、セミは?」

「セミも触れる」

「じゃあ、クワガタは?」

「クワガタはハサミが怖いからあんまり」

「じゃあバッタは?」

「バッタはなんか柔らかいから無理」

みたいな話をした。

「……カブトムシ、ご飯食べないね」

「夜行性だから夜になったら食べるかも」

「そうなの?」

「うん。外が暗くなったらまた見に来よう」

娘が「カブくん」という名前を付けた。
日が落ちた頃、再び倉庫へ行く。

「あっ!」

見ると、カブくんがひっくり返ったまま足をバタバタさせている。
急いで元に戻してあげる。

「なんでひっくり返っちゃうのよ……カブくん」

と言うと、娘は笑っていた。

昼間とは違い、カブくんはめちゃくちゃ良く動いた。やはり夜行性なのだ。

しかし相変わらず飛び立つ様子は無いので、またえさ台の上に乗せておいた。

「明日の朝にはいなくなってるかもね」

と言って部屋へ戻る。

「今までカブトムシ怖かったけど、なんか好きになった!」

と娘が言った。

次の日の朝、なんとまたカブくんはひっくり返っていた。

「もぉ~カブくん~なんでよぉ~」

と言いながら起こしてあげると、娘はまた笑っていた。

カブくんが旅立っていったのは、さらにもう1日後の朝だった。

娘はちょっとだけ淋しそうだった。

【ラジオ体操】

娘と一緒にラジオ体操へ行くことにした。
朝7時スタートなので、6時半に起きるのである。

自分が小学生の頃の記憶では、朝の空気がひんやりとしていて気持ち良かったのを覚えている。

そんな気分を想像しながら外へ出たのだが……

……暑い。

単純に不快である。

当時の気持ちは思い違いだったのだろうか?
単に昔より気温が上昇してるからなのか?
それとも当時はタンクトップ1枚、今は半袖シャツ2枚重ねだからだろうか?

などと考えながら集合場所へ行く。
子供だけでなく、ご年配の方も参加している。

自分の記憶では、体操が始まる前に『ラジオ体操の歌』というのが流れていたのだが、それは無かった。

体操が始まる。運動不足の身体にはこれだけでも負担である。

小1の娘はまだラジオ体操を習っていない。
なので見様見真似でやっていた。

お盆前までの期間だったが、ほとんど参加した。
最終日にはプレゼントが貰える。
当時僕が貰ったのはお菓子の詰め合わせだったが、娘のは花火と文房具とキーホルダーのセットだった。

【宿題】

まだ1年生だからだろうか、娘の夏休みの宿題が思っていたより少なかった。絵日記なんかは1日分だけで良いそうだ。

絶対あると思っていた『なつやすみのとも』も無かった(他のドリルはあった)。

一緒に勉強するのを楽しみにしていたのに、ほとんど学童保育でやってくるので、僕がやるのは丸付けがメインだった。

コンクールに出す作品を1つ作らなければならなかった。色んなコンクールがあり、ポスターや絵画、写真、書道など何でも良かったのだが、娘はリサイクル工作を選んだ。

不要品を使って何かを作る。作るものは何でも良いのだが、何でも良いと言われると子供は意外と作れないものである。

「じゃあ、何か好きな動物作る? ネコとか」

と案を出すのだが、いまいちピンと来ないらしい。そんなとき良いアイデアがひらめいた。

「ペットボトルをグラスにして、パフェを作るのはどう!?」

「やる!」

娘はパフェが大好きなので、この案はすぐに気に入ってくれた。

まずペットボトルを切ってグラスの形に加工する。切るのが固かったり、真っ直ぐ立つように調整するのが難しかったので、9割僕がやってしまった。

しかし! ここからは娘にやってもらう!
いろんな色のお菓子の袋や、スチロール容器、段ボール等を切って、パフェのように盛りつけてもらう。

途中、中身がこぼれないように固定する作業は僕がやってしまった。

しかし! 大体は娘のセンスで盛りつけてもらった!

パフェのてっぺんにはあざらしの顔が書かれたアイス(紙を丸めてポリ袋でくるんだもの)を乗せた。娘はあざらしが大好きなのだ。

完成だ!

ふむ、なかなか良く出来たではないか。

しかし……よくよく見ると、やはりなんだか大人の手が加わったオーラを感じるのである。

(絶対ウチの子だけでは作れないものが出来上がってしまった……)

そう思った僕は、

「じゃあ、最後に自分でデコって、もっと可愛くしたらどう?」

と促し、小1成分を追加することにした。

夏休みの工作、こんな感じで大人の存在を匂わす作品が生み出されるのだな、と思った。

【花火】

ドンキに行ったときに「ヘビ花火」と「トンボ花火」があったので買った。これらは僕が小学生の頃に好きだった花火だ。

まあ花火といっても昼用の花火で、ヘビ花火は火をつけると黒い塊がモコモコと伸びるだけ、トンボ花火は本体についたプロペラで上空へ舞い上がって音がするだけ、というものである。

しかし、娘にとってはどちらも初めての体験だ。

家の前の畑で、早速ヘビ花火をやってみる。

火をつけると……そうそう! こんな感じで黄色い煙が出て来て、黒い塊がヘビのようにニョキーっと!

……あ、あれ? こんなに小さかったっけ?

いや、子供の頃はもっと盛大に伸びたような気がしてたんだけど……

ん、んじゃ、次はトンボ花火ね。これはすごいぞ! 空高くまで飛び上がるから見ててね! はい! 火がついたから離れて!

シュルシュルシュル!!!!

うわあ!!! 横に飛んだ! あっぶな!!!

ちょっと……も、もう一回やるね。はい離れて!

シュルシュルシュル!!!!

また横に飛んだああああ! これあっぶな!!!

「5m離れて」って書いてあるけど、10mくらい横に飛んでるじゃねーか!

あぶないわ!!! もうやめとこ!!!

娘の反応はイマイチだった。

【セミ】

セミの思い出を娘に話した。

・小学生の頃、お盆におじいちゃんとセミをたくさん捕った。

・そのセミをおじいちゃん家の網戸にくっつけて遊んだ。

・セミをつまんで、少し強く握ると「ジジジ!」と鳴くことを発見した。

と、こんな内容だ。
この話を気に入った娘は、

「おとうさん、ちょっと身体押してみて!」

と言い、ギュッと押してあげると

「ジジジ!」

と、セミの真似をするという遊びをしばらくしていた。

また、セミの種類を教える際に、

「ツクツクボウシは、

ツクツクボーシ! ツクツクボーシ!
ツクツクボーシ! ツクツクボーシ!

って言ったあとに

ツクツクウィーアー! ツクツクウィーアー!
ツクツクウィーアー! ツクツクウィーアー!

って言って、最後に

ツクツクウィー!!!!!!!!!

って言うよ」と教えたので、

ツクツクボウシの真似をするときは、そのように言うようになった。

こんなリアルなツクツクボウシの真似をする小学1年生はそうそういないであろう。

【最後の侵入者】

今年の夏の侵入者たち

・カブトムシのオス(カブくん)
・クワガタのメス
・しゃくとり虫
・ゴキブリ

そして……

夜、仕事から帰ってきた妻が、

「なんか廊下の壁にでっかい虫みたいのいるぅ!!!!」

というので見てみると、7~8cmくらいの真っ黒い生き物がいた。

「えっ! 何!? 虫!? いや……コウモリ!?」

小型のコウモリである。

「もう! どうするんよー! これ!」

と、怒りを伴って叫ぶ妻。

家に侵入した虫に対処するのは、おおかた僕の仕事である。しかし、コウモリは……

「さすがにオレでも無理よ」

ハッキリ言ってやった。

妻もそりゃそうだなと思ったのか、

「どうにかして外に出そうよ……」

と共同作業を呼びかけて来た。

まず長い棒を用意した。
これでコウモリをつつき、どうにか玄関から出て行ってもらう作戦だ。

「じゃあ、つつく係お願いね」

と僕が言うと、

「え……私が?」

と、ひるむ妻。

「じゃあ、飛んで来たコウモリを玄関に誘導する係の方がいい?」

と訊くと、

「つつく係で……」

と了承してくれた。

部屋のドアから棒だけを出して、コウモリをつつこうとする妻。

飛んで来るコウモリを想像し、怯える僕。

しかし予想に反して、つつかれたコウモリはそのままポトリと床に落ちたのである。
不思議なことに、そのまま全く動かなかった。

「えー! どうするんよー!」

焦る妻。必死に手段を考える僕。

「分かった! 箱に閉じ込めて外に出そう!」

そう言って僕はAmazonの小さな段ボールを手に取った。

1)まずはこれを上から被せ、
2)その下に段ボールの板を滑り込ませて捕獲

完璧な作戦だ。

しかし、いざ実行しようとコウモリに近づくと、急に飛び上がりそうでむちゃくちゃ怖い。

慎重に……ゆっくりと……

段ボールを被せることに成功!

すかさず段ボールの板を差し込み、持ち上げることにも成功!

そのまま玄関に出て解放すると、コウモリはすばやく飛び去っていったのであった。

そんな夏休みでした。

以上、夏休みが終わるとき、娘以上に「嫌だあああ!!!」とゴネた北村がお送りしました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。