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HAKU 北村 コラム 4「夢の話」

普段は靴職人の北村です。

今回は夢の話します。
夢と言っても寝てるときに見る夢のほうですよ。

突然ですが質問です。

「あなたは同じ夢を何度も見たことがありますか?」

小学生の頃の僕は、繰り返し見る “ある夢” に悩まされていました。
この夢を見たときは大泣きして飛び起きるので、毎回親を驚かせていたようです。
あまりに怖いので、しまいには眠りにつくこと自体が恐怖となっていったのです。

一体どんな夢だったのか。

それはビルが建ち並ぶ街の喧騒の中、顔も分からない誰かがうっかりお金(コイン)を落とすシーンから始まります。

……チャリーン。

地面にコインがぶつかった瞬間、衝突による小さなエネルギーが生じました。それは地面を伝わって、地中深くに降りて行くのです。その様子が、まるで「アリの巣観察キット」でも見ているかのように、地面を断面から見たカットで映し出されます。

エネルギーがたどり着いた先には、大きいような小さいような工場がありました。中に人は見当たりません。作業はすべて機械によって淡々と、かつ自動的に行われており、なにやらロケットのようなものが作られています。

それは巨大なミサイルでした。お金を落とした際に生じる衝突エネルギーを集めて「世界を滅ぼすための兵器」を作っていたのです!

一つ一つは小さな衝突エネルギーですが、これが全世界から集められており、結果膨大な量になることは子供にも理解できました。

ミサイルは完成間近のようです。

僕は思います。

〈ああ、だめだ! 地球上の大勢が何気なく落としたそのお金、ものすごい数のその衝突エネルギーが地球を破壊する兵器を生み出してしまう!

こんな地面の底、誰も気が付きやしない。お金を落とす人たちに悪気なんて無い。一体だれがこんな恐ろしいものを作ろうとしているんだ?!

僕には何もできない、僕にはこれを止めることはできないんだぁ!!!〉

……………
………

こんな感じで、幼い僕は深い絶望とともに目を覚ますのでした。

大人になって思い返せば、

「……なんだこの設定(笑)」

って感じですけどね。当時は心底怖かったんですよ! 今でこそこうして夢の内容を文章化できますけど、子供の表現力では親にこの感情を説明することは不可能でした。

推測するに、当時流行っていたノストラダムスの大予言に絡めた世界滅亡論や、小学校の図書館で読んだ『はだしのゲン』による戦争への恐怖が、このような悪夢のベースとなっていたのではないかと思われます。

「抗うことのできない大きな災い」というものがとても怖かったのでしょうね。

繰り返し見た夢、実はもう一種類あります。こちらは小学校の放課後から始まる夢です。

下校時間。生徒は家に帰らなければなりません。けれど僕は友達と一緒に校門の陰に身を潜めています。

そっとのぞき込むようにして遠くを見ると、空を背景にして巨大な怪獣がそびえ立っています。おそらくこの町のどこからでも見えているでしょう。それぐらい大きいのです。

町の中心にただじっと立っているだけで、怪獣映画のように暴れて被害を及ぼすことはありません。しかし僕は、

「あれは町の隅々まで目を配らせて人々を監視しているのだ。決して見つかってはいけない」 そう感じたのです。

怪獣の視界に入らぬよう家に帰らねばなりません。身を隠しながら、まるで「だるまさんがころんだ」でもしているかのように、怪獣の目を盗んで少しずつ少しずつ家に向かって進みます。

ですがこの夢、家にたどり着いたことは一度もありません。
いつも帰る途中で目が覚めてしまうのです。
けれど、うなされて起きるようなことはありませんでした。一つ目に紹介した夢のような深刻な怖さではなく、どこかアトラクションのようなドキドキ感があったのを覚えています。

怪獣の見た目はゴジラとかゴモラとか、そんな風なデザインだったと思います。
なんだか「THE 小学生男子」って感じの夢ですよね(笑)

成長過程でこれらの夢は自然と見なくなってしまいました。今では同じ夢を繰り返し見ることはありません。それどころか夢自体たまーにしか見ないんですよ(覚えてないだけなんでしょうけど)。なんだかちょっと淋しい気もしますね。

さてさて最後は唐突に「最近見た夢で良かったやつと悪かったやつ」をご紹介して終わりたいと思います。

【良かったやつ】
若い頃の坂井真紀と好き同士なのに、お互い口には出さない夢(甘酸っぱい)

【悪かったやつ】
夏休みの宿題をせずに新学期を迎え、その後も提出しないで通す夢(罪悪感がすごい)

……以上、宿題はきちんと提出していた北村がお送りしました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。